個々のホームにはそれぞれ特色があり、提供されるサービスや費用が異なること、そのために見学や体験入居を通して自分の希望に合ったホームを選ぶことの重要性や、チェックポイントは何かについて理解してきました。
そして、いよいよ入居するホームを決めるという段階に進みます。ホームを決めるに当たっては、重要事項説明書や入居契約書について必ずその内容を十分に理解しておくことが大切になります。ここでは、老人福祉法の規定上で、特に注意すべき事項等について記載します。
権利金等の受領禁止について(老人福祉法29条第8項)
ホームは家賃や敷金、サービス提供費用以外の対価性のない金品を受領してはならないことが義務づけられています。例えば、「権利金」や、その他の名目の如何を問わず受領することはできません。
なお、「前払金」は、算定根拠を明確にすることで、受領することができます。
前払金について(老人福祉法29条第9項)
前払金については、「費用の内容」「償却期間」「返還金の計算式」「前払金保全措置の有無」「短期解約特例」等についての確認を必ずしましょう。
特に、前払金をどのように算定したのかについて、その算定根拠を設置者に確認しましょう。
前払金保全措置について(老人福祉法29条第9項)
入居者から何らかの前払金を受領するホームは、返還金に対する保全措置を講じることが義務づけられています。
短期解約特例について(老人福祉法29条第10項)
前払金を受領するホームに対し、3月以内での契約終了の場合の返還規定が、法律により義務づけられています。
これは、有料老人ホームへの入居後3月以内に解除または入居者の死亡により入居契約が終了した場合、前払金から入居日数分の家賃、サービス提供費用などの実費相当額を差し引いた金額を返還するというものです。入居契約書や重要事項説明書に記載されているかを確認しましょう。
その他に大切な項目として
設置者からの契約解除
有料老人ホームの入居契約には、設置者が契約を解除できる条件も定められています。基本的には、設置者が解除できるのは、入居者に重大な契約違反がある場合等、社会通念上も契約の維持が困難なケース等に限られています。ところが、例えば「入院期間が〇カ月にわたる場合」など、入居契約書上に定めているホームもありますので注意が必要です。
設置者からの契約解除とは、入居者がそのホームに住み続けることができなくなるという条件ですので、特に注意して確認する必要があります。
原状回復費用について
ホームから退去するときに、原状回復費用がかかることがあります。基本的には、国土交通省の策定した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月国土交通省住宅局)によりますが、この費用の負担内容をしっかり確認しましょう。