高齢期になると地域や社会との交流が減り活動範囲が限られ、一人暮らしとなると、一日のうち誰とも会わないことでメリハリもなくなり気力が減退します。特に認知症を患っている場合は、人との交流がなくなると急速に症状が進むとも言われています。
今回の住まいの住み替え豆知識は、現在一人暮らしのAさんと、Aさんの友人で相談を受けたBさんが、有料老人ホームに入居している共通の友人Cさんを訪ねた時のお話を紹介します。
Aさんは住み慣れた地域で、一人で過ごされています。年齢を重ねると共に地域や社会との交流が少なくなり、人と会話をする機会といえば、年に数回帰省をする子供達と会う程度です。私は毎月のように会っていたAさんに、コミュニケーションの機会が少なくなっていたせいなのか、最近Aさんに気力や体力の衰えを感じ心配をしていました。
Bさんは、Aさんと共通の友人で有料老人ホームに入居をしているCさんの事を思い出し、Cさんに直接相談をしてみると、「一度ホームに遊びにおいでよ!」と提案されました。以前より有料老人ホームへの入居に興味はありましたが、見学に行く機会もなかったのでこの際Aさんを誘いCさんが入居をしているホームへ見学に行くことにしました。
実際にホームを訪ねてみると、Cさんは入居者の方や、スタッフの方をまるで自分の友人や家族のように私たちに紹介してくれました。
Cさんは「年齢を重ねるとともに知人が減り、地域や社会との交流も少なくなって、“テレビがお友達”の状態が続き楽しみも少なくなっていました。ホームに入居してからは、今まで住んでいた自宅と同じように全てが満足とは言えませんが、季節ごとのイベントや毎月開催される趣味の活動、外出や外食が楽しみになりました。それに毎日の食事の心配もありません。何かあればすぐにスタッフの方が相談に応じてくれますし、体調が悪いときは、看護師さんがすぐに来てくれて、体調も管理してもらっています。
それとホームに入居されている方々は同じ世代の方々が多く、自分が今まで歩んできた環境や生活感が似ていて気の合う方もいます。それに、スタッフの方が毎日声をかけてくれることで、生活リズムが保たれているから安心して暮らしていますよ!」と、私たちに自慢するように話をしてくれました。
Cさんは、当初ホームに入居する前は住み慣れた自宅を離れることに抵抗を感じていたそうですが、地域との係わりや交流、外出する機会が減っていて、人との会話も少なくなり子供たちからも心配されていました。ホームに入居してからは、入居者の方々とホームのイベントなどに参加し外出する機会も多くなり、コミュニケーションの機会も増えたせいか、子供たちからも「友達もできて元気に暮らしているね!」と言われ、安心しているようだとのことです。
「一人暮らしが不安で入居しましたが、自分が想像していた以上にスタッフの方々が一人ひとりに向き合い、寄り添って親身に話を聞いてもらえるし、些細な相談にも乗ってくれます。それに高齢者に寄り添った暮らしを提案してくれて、特に人との交わりが増えたことで、日常生活で不安や心配事が少なくなりメリハリがある生活が出来ていることから、物忘れが少なくなったような気もするよ!」と、ホームの暮らしに満足してるようでした。
ホーム見学を終えて、BさんはAさんに「Cさんから元気をもらったね!私たちも前向きに考えてみたいね!」と会話をしながら帰りました。
人と接することにより、自分にも相手にも気を使うことで身体や心も健康な暮らしが保たれます。
高齢期の住まいの選択肢の一つとして、新型コロナウイルスの終息を機に、有料老人ホームに入居されている方が身近にいらっしゃれば訪問をしてみてはいかがでしょうか?
全国有料老人ホーム協会にご要望に添った有料老人ホームについて問い合わせてみるなどし、お出かけの機会として有料老人ホームを訪問し、そこでの生活をご自身の目で確かめてください。
全国有料老人ホーム協会 業務アドバイザー
株式会社ケアプロデュース 代表取締役
安藤 滉邦氏