多くの高齢者の住まいがありますが、有料老人ホームにおける「健康管理」とは、施設の職員が、入居者それぞれの身体が健康状態にあるよう見守り・管理をすることをいいます。
介護付有料老人ホームでは、看護師は入居者の人数に応じて配置基準があります。ホームに常駐する看護師が中心となり、医療面も踏まえた入居者の健康を見守り・管理をすることとなります。(注:住宅型有料老人ホームでは看護師の配置基準がなく、看護師が常駐していないホームもあります。)
横浜市立大学の健康管理のモデルとして、下記のようなものがあります。
・第1ステップ 【予防】
・第2ステップ 【早期発見&早期対応】
・第3ステップ 【治療&再発予防】
この3ステップを有料老人ホームの健康管理に当てはめてみることにしましょう。
【予防】
日ごろから、質のよい睡眠、栄養のバランスを考えた食事、適度な運動などを通して生活習慣を整え、健康な身体作りをすることです。
予防接種を受けたり、感染症対策として手洗いやうがいをすること、また、気持ちよく過ごしやすい生活環境を作ることなども含まれます。
施設では食事は管理栄養士が献立を作成し、入居者の健康を管理します。
【早期発見と早期対応】
定期的、継続的に健康診断を受けたり、運動機能をチェックしたりして、自分の心身の状態を知ること。そして、何らかの違和感があったときに早めに医療機関を受診したり、休養をとるなど、適切な対処をすることです。
施設の職員は、入居者の状態が「いつもと違う」「なんか変だぞ」という違和感に早期に気づき、対応することが重要です。また施設の職員が、入居者の日々の状況を職員同士で情報を共有することも大事な対処法です。
施設内では、入居者の日々のバイタルチェックや食事摂取量、水分補給量、排尿・排便回数等必要に応じて報告を受け様子観察や管理します。
また、定期的な健康診断や随時健康相談の実施も健康管理においては非常に重要です。外部連携として提携医療機関による、訪問診療、訪問歯科診療、訪問薬局、訪問マッサージ等を定期的に活用し、医療機関とも連携しホームでは日々の健康管理に努めています。
万が一、入居者の方の体調が急に悪くなってしまった場合には、施設と提携・協力関係にある医療機関の医師の指示を仰ぎ、早期に対応することで入居者の健康を管理します。
尚、国の“有料老人ホーム設置運営標準指導指針”には医療機関等との連携という項目が明記されていて、その中の一項目に「入居者の病状の急変等に備えるため、あらかじめ、医療機関と供する旨及びその協力内容を取り決めておくこと」とされています。
【治療&再発予防】
重症化しないように治療を続けること、病気の合併症や後遺症を予防すること、その影響を最小限に食い止めること、治療に専念するために病院に一時的に入院するなど、治療を行います。退院後は、再発予防や機能訓練等に取り組みます。
治療やリハビリを必要とされる方が入居されている時(病院から退院された時)は、看護師だけでなく、理学療法士や作業療法士といった専門資格を持った職員が入居者お一人おひとりの健康管理を行っています。
近年、高齢者の住まいは多様化され、全てのホームに同様な入居者の健康管理をする体制が整っていると限りませんので、ホームへの入居を希望されるご本人が「予防を重視したい」、「持病があり早期対応を行いたい」、「再発防止に努めたい」などご心配事がある場合は、事前にホームへご確認ください。
いつまでもお元気で安心できる暮らしを実現してください。
全国有料老人ホーム協会 業務アドバイザー
株式会社ケアプロデュース 代表取締役
安藤 滉邦