(ご家族からの質問)
母が前払金を支払い、介護付きホームに入居した。想定居住期間が経過する前に入居者本人の自己都合により契約終了することになった。ホームから返還金の送金先に関する書類を受け取ったのだが、その書類には返還金が明記されているのみで、返還金の計算式などは明記されておらず、説明もない。また、「精算金についての異議申し立ては一切行いません」と明記されており、署名を求められている。これに署名をしたら、精算金に対し異議があっても申立をすることはできないのか。
≪相談者に対する苦情対応委員会のコメント≫
退去時に返金される金額については、ホームが提示する内容は退居時の返還金の計算方法として契約書に定められており、それに則って入居者・家族への説明を行う事が前提となります。「異議申し立てを行わない」旨の念書を取る事は、ホームの恣意的な金額設定を招き、また消費者保護の観点からも問題となりますので、まずは、署名を行わず金額の提示、計算方法の説明を求めてください。
~入居を検討している方へ~≪トラブル回避のためのチェックポイント≫
返還金の精算根拠は入居契約書に示されています。入居契約書は手元に保管するとともに、ホーム側から提示される精算に関する書類に署名を求められた場合、納得いかない場合にはまず金額や内容(具体的な算定根拠)の説明を求めて確認し、納得できた場合に署名をしてください。
(参考)
消費者基本法
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効等)
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分
2 事業者は、消費者に対し、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項に基づき損害賠償又は違約金の支払を請求する場合において、当該消費者から説明を求められたときは、損害賠償の額の予定又は違約金の算定の根拠(第十二条の四において「算定根拠」という。)の概要を説明するよう努めなければならない。
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。