(ご家族からの質問)
要介護の家族がホームに入居している。ベッドから転倒すると本人から訴えがあり、家族の了解のうえ、ホームに対しベッドの4点柵を希望したい旨を伝えたが、ホームから身体拘束にあたるとの理由で、拒否されてしまった。入居者本人と家族が了解しているのだから、虐待には当たらず、ホームは入居者や家族の希望に対応するべきではないのか。
≪相談者に対する苦情対応委員会のコメント≫
ホームが説明しているように入居者本人と家族が了解しても、4点柵をはじめとした身体拘束は原則禁止なので、本事案のようなホーム側の対応はそれ自体としてはやむを得ないところです。ただこのケースはベッドからの転落の不安があるということですので、その状態を放置することも不適切です。その対策としては、例えば低床ベッドの利用や、マットレスの利用など転落に対する不安を解消する等が考えられますが、その他の対応策も含めて、具体的事情に応じた転落に対する危険を解消する方法をホームと相談してください。
~入居を検討している方へ~≪トラブル回避のためのチェックポイント≫
要介護者の身体拘束は家族が認めても原則行ってはいけない行為です。ホーム側が身体拘束を行いませんと言うのは当然であり、それを安全の為に実施しろと言うのは無理な要求です。
但し、判断能力に問題がない入居者本人の方が、入眠中の不安等を回避する目的等で、自分で柵設置を希望する場合は、それは他者による「身体拘束」には該当しませんので、この限りではありません。
(参考)
有料老人ホーム設置運営標準指導指針
9サービス等
(5)入居者に対するサービスの提供に当たっては、当該入居者又は他の入居者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入居者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならないこと。
(6)緊急やむを得ず身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入居者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこと。
(7) 身体的拘束等の適正化を図るために、次に掲げる措置を講じなければならない。
イ 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
ロ 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
ハ 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年三月三十一日)(厚生省令第三十七号)
第百八十三条
4 指定特定施設入居者生活介護事業者は、指定特定施設入居者生活介護の提供に当たっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならない。
5 指定特定施設入居者生活介護事業者は、前項の身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
6 指定特定施設入居者生活介護事業者は、身体的拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を三月に一回以上開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
二 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
三 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
厚生労働省【身体拘束ゼロへの手引き】(東京都福祉局)
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/zaishien/gyakutai/torikumi/doc/zero_tebiki.pdf
身体拘束防止に向けた書式・指針(会員事業者ページ)