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入居あれこれ

【契約・解約】損害賠償について

契約

(ご家族からの質問)

 入居契約書の損害賠償の条文に、「入居者の故意過失を問わず、居室で破損や出火、水漏れなどが発生した場合は、入居者の責任とし、入居者が費用を負担し、損害について即時賠償する」旨明記されていたが、よく確認せずにそのまま契約をしてしまった。この場合、契約書の通り、全ての責任・費用負担は入居者に課せられてしまうのか。

≪相談者に対する苦情対応委員会のコメント≫

 消費者契約法第8条、10条から、消費者と事業者との契約において、事業者の契約上または不法行為上の損害賠償責任を全面的に免除する条項や、民法上の通常の契約関係と比較して、信義則に反し、消費者の利益を一方的に害する条項等を不当条項として無効とする規定があり、本事案の条項はこれに該当する可能性があります。その場合、本人の責任では無い事象まで消費者に責任を負わせる契約は無効となります。弁護士等専門家に相談してください。

~入居を検討している方へ~≪トラブル回避のためのチェックポイント≫

入居契約書で、損害賠償の規定について、入居者に不必要な範囲の責任を負わせる内容となっている事が無いか確認してください。また民法の一般的な定めと比較して、信義則に反して入居者に一方的に不利な負担・責任を負わせる契約内容になっているホームなどは選択肢から外した方がよいと思います。

(参考)

有料老人ホーム設置運営標準指導指針

12 契約内容等

⑼ 事故発生時の対応

有料老人ホームにおいて事故が発生した場合にあっては、次の措置を講じること。

一 入居者に対するサービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに都道府県、指定都市又は中核市及び入居者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じること。

二 前号の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録すること。

三 設置者の責めに帰すべき事由により、入居者に賠償すべき事故が発生した場合は、入居者に対しての損害賠償を速やかに行うものとすること。

(賃貸人による修繕等)

第六百六条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

消費者契約法 

(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)

第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。

一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項

三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項

 

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

 

民法

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

 

(賃貸人による修繕等)

第六百六条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

 

契約トラブルから身を守るために、知っておきたい「消費者契約法」(政府広報)

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201803/3.html#thirdSection

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