フロイデンハイム
「地域福祉と自分らしさへの深い配慮」
有料老人ホームへの入居を検討されている皆様にあんしんできる住まい選びをしていただくため、協会で実施している【サービス第三者評価】を受審されたホームをご紹介します。
サービス第三者評価とは、ホームが外部の専門家による評価を受けることで、自分たちでは見えなかった改善点に気付き、質の向上に励んでいただくことを目的としている当協会の事業です。詳細は「こちら」をクリックしてください。
※「フロイデンハイム」の評価結果は「こちら」からご覧ください。
今回ご紹介するのは、2023年度にサービス第三者評価を受審された介護付有料老人ホーム「フロイデンハイム」(大阪府堺市)です。運営母体である「福生会」は、創設者が第二次世界大戦で被災したお年寄り20名を自宅に引き取ったことからスタートした全国初の社会福祉法人。昭和27年の法人設立から現在にいたるまで、地域福祉に貢献する精神を大切に引き継いできました。敷地内には「フロイデンハイム」の他、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、デイサービスセンターもあり、包括的に地域の方を受け入れています。「フロイデンハイム」副施設長の乾加奈さんに、ホームでの取り組みについてお話をうかがいました。
「フロイデンハイム」副施設長の乾加奈さん(2024年10月現在)
−−ご入居前の大切な習慣を尊重
事務局:第三者評価では、ご入居者一人ひとりの生活背景を熟知していること、地域住民とのフレンドリーなふれあいが育まれていることが優れた取り組みに挙げられています。まず、ご入居者の生活背景をどのように把握しているか教えてください。
乾(「フロイデンハイム」副施設長。以下、乾):私どもは入居前の話し合いを大切にしています。ご希望であれば何度でもホームにお越し頂き、どのような生活習慣を大切にされているかお話しを伺います。ご本人とご家族が希望される場合は、ご入居前に職員がご自宅を訪問して、普段の生活の様子を拝見することもあります。そして、どのような生活をされてきたのか、どのようなことがお好きなのか、くわしく教えていただきます。ご自宅に伺うことで、その方らしい生活を把握しやすくなると実感しています。
事務局:とても丁寧な取り組みですね。ご自宅に行かないとわからないことも多そうです。
乾:そうですね。特に持ち物については、ご入居時に大切なものを手放そうとする方もいるのですが、実際は結構たくさんのものを持っていけますので、「大切にしているものはぜひお持ちください」とお伝えしています。思い出の写真をお持ちになった場合は、ホームの部屋に飾るのをお手伝いしたりして、ホームが心安らぐ場所になるように尽力しています。
事務局:ご自宅からホームにお持ちいただいたもので、印象的なものはありますか。
乾:最近ご入居された方は、大切に育てていたお花や野菜の苗をお持ちになりました。そして、ホームのお庭に植えて育てていらっしゃいます。可愛がっていた金魚やメダカをお持ちいただいた方もいて、お元気な時はお部屋で飼い、ご自分でお世話をするのが難しくなってからはロビーで飼っています。皆さん色々連れてくるのでご入居者も慣れていて、「この子はどなたが連れてきたの?」という感じで、楽しみながらお世話をしてくださるんですよ。
事務局:とてもほっこりするエピソードですね。
乾:ありがとうございます。私たちは、ホームに引っ越してもご自宅での楽しみを継続しながらその方らしく暮らしていただきたいと考えています。お好きな習い事がある方の場合、ホームの近所で同じ習い事ができないか一緒に探すこともありますね。
−−ご入居者と地域住民が互いに助け合う
事務局:地域の方とは、日常的にどのようなふれあいが育まれていますか。
乾:福生会では、貧困で食事に困っている方、家庭の事情で孤食になりがちな方などを対象に、栄養バランスの良い食事を無償で提供する「みんなの食堂」という活動を行っています。また、施設のご入居者と職員、地域の人々が集い、お茶やお菓子を楽しみながら情報交換をしたり体操をしたりする「ぬくもりカフェ」も開催しています。そして、ご希望されるご入居者には、こうした地域福祉活動に積極的に参加していただいています。
事務局:ご入居者と地域の方が互いを思いやり、助け合っているのですね。
乾:そうですね。「みんなの食堂」については、当初は地域の高齢者を対象にしていたのですが、「子供も食事に困っているんじゃないか」という声があがり、お子さんにも来ていただくようになりました。「みんなの食堂」開催時は、有志のご入居者に受付をしていただいたり、子どもたちに食事の受け取り方を教えていただいたりしています。食事が終わった子どもたちの宿題を見てあげている光景もありました。
事務局:「ぬくもりカフェ」では、具体的にどのような交流をされているのでしょうか。
乾:機能訓練指導員の方に体操を教えていただいたり、ボランティアの方による音楽会を開催したり、介護に関するご相談をお受けしたり、さまざまな取り組みを行っています。民生委員の方も参加されるのですが、「地域で困っている人を助けられないか」という話題になることも多く、地域福祉の発信源的な役割も担っていると思います。
事務局:より住みやすい町になるよう、地域の皆さんとご入居者が一体となって活動をされているのですね。
−−的確な診療につなげる医療サービス
事務局:第三者評価では、医療サービス提供の内容が充実していることも評価されています。医療サービスの取り組みについて、詳しく教えていただけますか。
乾:まず、法人敷地内には診療所(同法人が別事業で運営)があって、風邪をひいたり薬を処方してほしかったり各種予防接種を受けたかったりする場合、速やかに診察して対応してもらえます。健康管理に関する相談も気軽にできます。それから、外部の病院で専門的な診療を受ける必要が出てきた場合には、診療所の医師が「この症状に精通しているのはこの病院」と紹介状を出してくださるので、スムーズに的確な診療を受けることができます(診療所の診察や紹介状作成には別途医療費が発生)。
事務局:ホーム内でもホーム外でも的確な診療が受けられるのは心強いですね。外部の医療機関を受診する場合、何かサポートはありますか。
乾:月12時間までは外出の際にスタッフが付き添うサービスを提供していますので、外部の医療機関に行く際に利用されるご入居者が多いですね。また、救急搬送時は看護サマリーも用意し看護師が付き添いしますので、ご本人が説明できなくても詳しい症状を伝えることができます。
事務局:迅速で的確な医療対応を行った具体例があれば、教えてください。
乾:ホーム内には介護・看護職員が24時間常駐していますので、24時間365日、迅速な対応ができるように体制を整えています。例えば、お昼ご飯の時に介護職員が「この方、いつもよりろれつが回っていないな」と感じたケースがあったのですが、すぐ看護師に報告して、外部の総合病院を緊急受診しました。結果は軽い脳梗塞。早めに受診したことで、速やかに治療を受けることができました。
事務局:普段からご入居者をしっかり見守っているからこそ、わずかな異変に気がついたのでしょうね。
−−気持ちよく安全に入浴していただくために
事務局:入浴について、ご入居者の自由度が高いこと、入浴環境やプライバシー保護への配慮を徹底していることも、第三者評価で高く評価されています。入浴サービスで工夫していることを教えてください。
乾:大浴場の入浴時間は、一般浴が15時から21時、介護浴が10時〜15時としています。「お風呂は夕食のあとじゃないと嫌」「すいている時間に入りたい」などさまざまなご要望があるので、自立のご入居者には思い思いの時間に入っていただいています。入浴に介護が必要なご入居者は、介護浴の時間帯にお一人ずつ大浴場にご案内して、安全に気をつけて入浴介助を行っています。
事務局:入浴時間の幅が広いと、1日を自分のペースで過ごしやすくなりそうですね。入浴時のプライバシーや安全面の問題については、どのような取り組みをされていますか。
乾:当ホームの入浴サービスの特徴は、一般浴と介護浴の間に中間ゾーンのようなものを設けていることです。お一人で安全に入ることに不安を感じたり、清潔に大浴場を使うことが難しくなったりした場合、ご本人と相談して了承していただければ、介護浴の時間帯に大浴場を使っていただいています。職員が要介護の方の入浴介助を行っているのと同じ空間で、自分のペースで入っていただくわけです。そして、危ないときにはサポートしたり、汚してしまったらすぐにお掃除したりしています。「一人で入るのはちょっと不安だけれど、プライバシーは尊重してほしい」というご要望を叶えられるので、好評をいただいています。入浴はリフレッシュになる一方で注意が必要なシーンでもあるので、どうしたら全てのご入居者に気持ちよく安全に入浴していただけるか、常に考えております。
−−既存の枠に捉われない臨機応変なサービスを
事務局:今回、第三者評価を受審されて気がついたこと、新しく取り組み始めたことなどがあれば教えてください。
乾:第三者評価を機に大きく改善したと実感しているのが、ケアカンファレンスのあり方です。以前は日々の業務が忙しくてなかなか職員の時間を合わせられず、頻繁にケアカンファレンスを開催することが難しいという悩みがありました。そこで、第三者評価の調査員の方に相談したところ、「毎日朝礼と夕礼で多職種が集まってしっかり情報共有や意見交換をしているのだから、その記録をケアカンファレンスとして残していきましょう」という助言をいただいたのです。第三者評価受審後は、1回15分ほどの朝礼や夕礼の内容をカンファレンス記録としてしっかり残すことで、ご入居者のリアルタイムな情報を全職員で共有できるようになり、ご家族への報告もスムーズにできるようになりました。
事務局:第三者評価がお役に立って、とてもうれしいです。お伺いした内容以外で、ご入居検討者に伝えたいこと、力を入れている取り組みなどがあれば、教えてください。
乾:当ホームの役割は、自分らしく安心して住んでいただくことだと思います。そのため、私たち職員は「介護度がいくつだからこのサービス」などの枠組みにはめず、お一人おひとりのご希望に合わせて臨機応変に対応することを心がけています。なお個室では、ご夫婦やごきょうだいだけでなく、親子で一緒に暮らすこともできます。実際、高齢のお母さまと障がい者手帳を持つ息子さんが同じ部屋で暮らしているケースもあります。老人ホームで暮らす方の中には、障がいを持つお子さんの心配をしつつ、一緒に住めない方もいらっしゃるので、こうした多様な受け入れ体制が日本全体に広がってほしいと思います。ご入居検討者の方もご家族も、困ったことがあれば当ホームにご相談ください。福祉の心を大切に、皆さんに安心を届けられる存在であり続けるべく尽力してまいります。
事務局:「フロイデンハイム」では、地域の皆さんと助け合い地域福祉に貢献していること、決まりごとに捉られず臨機応変な対応に尽力されていることがよくわかりました。本日はお忙しいところお話を聞かせていただきましてありがとうございました。
介護付有料老人ホーム「フロイデンハイム」外観写真
「フロイデンハイム」 類型及び表示事項
類型 |
介護付有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護) |
居住の権利形態 |
利用権方式 |
入居時の要件 |
自立/要支援/要介護 |
利用料の支払い方式 |
選択方式(全額前払い方式、月払い方式) |
介護保険 |
堺市指定介護保険特定施設(一般型特定施設) |
居室区分 |
全室個室 |
介護にかかわる職員体制 |
2.5:1以上 |
【お問い合わせ先】072-278-8850
〒599-8254 大阪府堺市中区伏尾230番地
〇職員体制(2024年7月現在)
介護職員 24.4人(週40時間換算)
看護職員 4.8人(週40時間換算)
夜間帯 21時〜7時半
夜間最少人数:介護職員2人、看護職員1人