イリス苗穂
「自由な暮らしと続く安心を大切に」
有料老人ホームへの入居を検討されている皆様にあんしんできる住まい選びをしていただくため、協会で実施している【あんしん宣言】に取り組まれているホームをご紹介します。
あんしん宣言とは、法令等に基づき6つの項目について、ホームが自ら点検を行うことで、入居者に安心・安全をお届けするものです。詳細は「こちら」をクリックしてください。
※「イリス苗穂」の【あんしん宣言】は「こちら」よりご覧いただけます。
今回ご紹介するのは2024年7月に【あんしん宣言】された、サービス付き高齢者向け住宅「イリス苗穂」(北海道札幌市)です。こちらは、2024年5月、JR「札幌」駅から一駅隣の「苗穂」駅北口に誕生した新しいホーム。大型ショッピングセンターに隣接していて、医療機関、銀行、コンビニエンスストアなども近く、便利な立地で暮らすことができます。「苗穂」駅からは、雪や雨に濡れずに空中歩廊を通って5分ほどで到着します。10階建てで、4〜10階が一般住戸、2〜3階が介護専用住戸となっています。運営元は「さっぽろ高齢者福祉生活協同組合」で、2006年の法人設立以来、「本当に生涯安心できるホーム」を目指して高齢者の暮らしをサポートしています。
「イリス苗穂」施設長であり、「さっぽろ高齢者福祉生活協同組合」専務理事の柿原尚美さんに、ホームでの取り組みについてお話をうかがいました。
※「イリス苗穂」柿原施設長
-透明で開かれた経営を重視-
事務局:「イリス苗穂」は2024年5月にオープンした新しいホームですが、設備面の特色はありますか。
柿原(「イリス苗穂」施設長、「さっぽろ高齢者福祉生活協同組合」専務理事。以下、柿原):当ホームでは、ICT化を積極的に推進しています。特に介護専用住戸では、職員のサービスの効率化に力を入れていて、QRコード付きのカードを居室の入り口などにタッチするだけで、誰がいつどのサービスをしたかが記録されます。いちいち行動の流れをとめて、記録を手書きしたり打ち込んだりする必要がないわけです。その結果、ご入居者の様子を丁寧に見守ることができたり、コミュニケーションに力を注いだりできる効果が生まれています。また、広い施設なので廊下など共用部ではお掃除ロボットが活躍しています。ご入居者の皆さんが「いーちゃん」という名前をつけてくださって、「働き者だね」「賢いなあ」なんて言いながら可愛がっていらっしゃるんですよ。
事務局:2024年7月に【あんしん宣言】を公表していますが、公表した経緯を教えてください。
柿原:ご入居者やご入居検討者に【あんしん宣言】をしていることを伝えて、私たちが最後まで安心して暮らせるホームづくりを心がけていることを示したいと思いました。また、【あんしん宣言】の項目を普段からしっかり守っていることを職員間で再確認することで、胸を張って仕事をしてもらいたいと考えました。
事務局:【あんしん宣言】の項目(ホームの運営理念、情報公開、入居者の権利擁護、職員の業務スキル向上、適正な入居契約の締結)の中で重点を置いた項目はありますか。
柿原:当法人は「透明で開かれた経営」を行うことを重視していますので、情報公開には特に力を入れています。
事務局:具体的な取り組み内容を教えていただけますか。「イリス苗穂」はオープンから間もないので、法人全体で取り組んでいる内容も織り交ぜてお教えいただければ幸いです。
柿原:まず、3か月に一度「運営懇談会」を開催して、イベントなどの開催状況を報告したり、ご入居者からのご要望・ご意見をいただいたりしています。ホーム内でのトラブル、感染症の発生、ヒヤリハットの事例などがあれば、包み隠さずしっかり共有して注意喚起し、改善につなげています。それから年に一度、理事長が各ホームを訪れて、ご入居者に向けてホームの収支を報告しています。また、フロアごとの小規模な懇談会も3カ月ごとに行っています。人数は20人前後になるので、100人以上が集まる運営懇談会より発言しやすく、たくさんの意見や質問をいただいています。
事務局:ホームの収支を報告するというお話が印象的でしたが、ご入居者の皆さんの関心は高いですか。
柿原:大切なお金をたくさん払って暮らすところですし、それまでの人生で経営を担ってきたご入居者も結構いらして、皆さん真剣に聞いていらっしゃいます。年に一度の報告会以外でも、「詳しい収支表を見せてほしい」とご入居者がご希望されたら、すぐにお見せして説明しています。既存ホームでの話しですが、食材や燃料など物価の高騰が著しいので、法人が設立してから初めて食事代を少し値上げさせていただいたんです。すると、収支を事前にしっかりお伝えしていたので不満の声はあがらず、「そうだよね。経費上がっているもんね。」とご納得の声をいただけました。今後も、ご入居者と一緒にホームを運営していくという思いで、開かれた経営を実践していきたいと思います。
事務局:情報公開について、他に力を入れていることはありますか。
柿原:つい最近ですが、イリス苗穂のインスタグラムを立ち上げました。イベントの様子、食事のメニューなど、日々の何気ない写真を私が撮って、若い職員がアップしています。今はまだ始まったばかりですが、徐々に他の職員にも写真をアップしてもらうようにして、内容を充実させていきたいです。ご入居者のご家族やご友人が投稿を見て、「こんな感じで暮らしているんだ」と安心していただけたらいいなと考えています。
-手ずっと安心して暮らせるホームを目指して-
事務局:【あんしん宣言】の最後の項目にある運営上特に力を入れている事項には、「元気なうちは自由な暮らしを楽しみます。支援が必要になっても最後まで暮らせます」とあります。まず、自立の方のサポートについて、心がけていることを教えてください。
柿原:自立の方には、ご自分らしく自由な暮らしを楽しんでいただきたいと願っています。実際、スポーツ観戦やコンサートに出かけたり、ご家族のところに泊まりに行ったり、旅行に行ったりする方がたくさんいらっしゃいます。皆さんカードキーをお持ちなので、ホームへの出入りは自動で記録されて、スタッフが確認することができます。外泊する場合だけ、外泊届けを出していただいています。
事務局:便利な立地ですし、皆さんアクティブに趣味や交流を楽しまれているのですね。イベントやアクティビティの特色はありますか。
柿原:季節ごとに、夏祭り、クリスマス会、新年会などのイベントを開催し、ホーム全体で盛り上がっています。また、自立の方はお元気なので、アクティビティに関してはホーム主導ではなくご入居者主導で楽しんでいただきたいとお伝えしています。実際、カラオケ、麻雀、囲碁といったサークルがすでに誕生して、気の合うお仲間同士でワイワイと楽しまれています。
事務局:ご入居者の自主性を尊重されているのですね。続いて、支援が必要になった場合のサポートの取り組みについて、教えていただけますか。
柿原:介護専用住戸には、要介護1以上の認定を受けた方に入居していただいて、最期まで暮らすことができます。終末期には、介護職員、看護師※1、生活相談員、栄養士、ケアマネジャー※2といった他職種で話し合いをして、お一人おひとりに合ったサービスや食事の内容を検討してご提供しています(介護サービスを利用する場合は別途利用契約が必要)。
事務局:一般住戸から介護専用住戸に移るタイミングはどのように決めていますか。
柿原:お一人おひとりの心身の状況が異なりますので、ご本人やご家族と対話を重ねて、「介護専用住戸でサポートを受けて暮らすほうがよい」と納得して住み替えていただくことを心がけています。とはいえ、認知症の場合などはご本人もご家族も「まだ大丈夫だと思う」と転居をしぶるケースもあります。そんな時は、一般住戸で安全に暮らせるかを判断のポイントにして、外出して自分で帰れなくなった、食事を取らなくなったなど命に関わるような出来事が一つでもあったら、命を守るために住み替えていただいています。
事務局:お元気な時から支援が必要になった時まで、状況に応じたサービスを展開されているのですね。
柿原:そうですね。あと最近は、お元気な方とも要介護の方とも違うサポートが必要な方が出てきています。それは、それまでお元気で自立して生活されていて、がんなどの病気での余命宣告をされた方たちです。最近このケースの方が数名いらして、「病院ではなくホームで最後まで暮らしたい」と希望されています。こうした方のホームでの暮らしには、急な体調不良、メンタル面のゆらぎなどが生じると思いますので、職員一同で心身ともにサポートする必要があると考えています。「余命宣告されても病院ではなくホームで最期を迎えたい」という希望を叶え、その方らしい余生を送っていただけるホームになれるよう、努力を続けてまいります。
事務局:柿原施設長がご入居者と接する上で心がけていることを教えてください。
柿原:ご入居者にはお一人おひとりの人生があり、それぞれ大切にされてきたご趣味や習慣があります。そして、ホームに入ったからといってそれを制限されたらストレスになってしまいます。そこで、お一人おひとりがそれまでの人生で大切にされてきたご趣味や習慣を大切にすることを心がけています。もちろん、全ての希望を叶えることは難しいですが、お互いに納得できる落とし所を丁寧に探りたいと思っています。
事務局:具体的なエピソードがあれば教えていただけますか。
柿原:例えば、お酒が大好きなご入居者がいらっしゃいます。認知症が進んでいますが、一般住戸で暮らしているため、24時間体制で見守りすることはできません。毎日、大量のお酒を飲んでいるため、色々な問題が出てきます。お酒を禁止するのは簡単ですが、90歳にもなってやめるのは難しいですし、毎日の楽しみを奪ってしまうことにもなります。そこで、お酒を飲む量やタイミングを一緒に考えて、楽しく飲み続けられる方法を探しているところです。
事務局:他に、施設長として心がけていることがあれば教えてください。
柿原:ご入居者とも職員とも、楽しく一緒に過ごしたいと思っています。私は楽しいイベントを考えたり裁縫や工作をしたりすることが好きなので、法人の公認キャラクター「いりすちゃん」の着ぐるみをつくったり、お正月用に段ボールで獅子舞をつくったり、季節感のあるバッジをつくって職員につけてもらったりしています。
事務局:着ぐるみを自作するとはすごいですね! 手づくり感のあるイベントでほっこりしますね。
柿原:ありがとうございます。手作りのものがあるとご入居者とのお話も弾みますし、何よりものづくりが好きなので、楽しく製作しています。
事務局:「イリス苗穂」では、情報公開に力を入れて開かれた経営をされていること、お元気なときも介護が必要になってもその方らしい暮らしを尊重されていることがよくわかりました。これからもご入居者が「安心・安全に暮らせる」ホーム運営を期待しています。本日はお忙しいところお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。
※サービス付き高齢者向け住宅「イリス苗穂」外観写真
「イリス苗穂」 類型及び表示事項
類型 |
サービス付き高齢者向け住宅 |
居住の権利形態 |
利用権方式 |
利用料の支払い方式 |
選択方式(全額前払い方式・月払い方式) |
入居時の要件 |
自立/要支援/要介護 |
介護保険 |
在宅サービス利用可 |
居室区分 |
全室個室 |
【お問い合わせ先】0120-708-207(平日9:30〜18:00)
〒065-0005 札幌市東区北5条東10丁目16-1
※1 看護師2名(常勤1名、非常勤1名) (2025年1月現在)
※2 ケアマネジャー 福祉生協イリスケアプランセンターに所属し、相談など適宜対応
●事業者からの解除事項について
・入居契約書に定める禁止行為等を行うなど、事業者との信頼関係を著しく害するに至ったとき
・職員や他の入居者等に対するハラスメントにより、業務に支障がおよんだとき
●住み替えについて
事業者の指定する医師の意見、入居者の意思、入居者の成年後見人および身元引受人等の意見を考慮し、入居者と合意の上による。