『医療、健康、食事をメインテーマに
ホームを吟味し、たどりついた理想の「終の棲家」』
ご入居者様 A様(70代) ご入居時期 2025年1月
お話を伺った方: ご本人様
取材日:2025年6月
有料老人ホームへの入居を考えるとき、「他の人はどう選んだのだろう?」と気になる方が多いようです。入居への不安が和らぎ、前向きな一歩を踏み出すきっかけとなるよう、実際に入居を決めた方々の声をご紹介します。
今回は、急病や体調の変化など、一人暮らしの不安から、ホームへの住み替えを検討され、あらゆる角度からホームを吟味して、理想の住まいを選んだA様をご紹介します。
【一人暮らしの不安から住み替えを決意】
相談員:老後の住まいについて住み替えを考えたきっかけを教えてください。
A様:70歳の時に妻を亡くしたことがきっかけでした。食事や家事、庭木の手入れなどは苦になりませんでしたが、急な体調の変化や病気の際の対応など一人暮らしゆえの不安を強く感じたことが住み替えを検討する契機となりました。
【自分基準で探した心地よい暮らし】
相談員:入居先を決めるまでの情報収集など、どのように活動されたかを教えてください。
A様: 自分なりにホーム選びの基準がありました。
① 医療支援体制がしっかりしていること
② 健康を肉体、精神両面で維持できること
③ 食事
の3点です。
娘が老年医学の専門医で、彼女より高齢者向けの医療支援体制が整っているホームがあると紹介されました。2019年に実際に見学すると、施設内にクリニックがあり24時間医師、看護師が常駐し入院病床も完備していることが確認できました。
健康に関しては、フィットネスクラブが併設され体力にあった運動ができること。また施設の仕様(廊下、共用スペースなど)が直線的でなく曲線を描いており、広々として圧迫感がなく、精神的にもゆったり過ごせそうな気がしました。
食事に関しては、外部委託ではなく自前での提供なので、栄養面にも配慮した食事の提供が期待できました。見学したのはこちらのホームだけですが、家族も含め季節を変えて数回出向きました。
2019年中ごろに見学を行い入居に向けた作業、手続きを行おうとしたのですが、翌年新型コロナが発生したことで不安になり、いったん検討を中断しました。2023年にコロナが2類から5類に移行し状況も落ち着いたことから入居検討を再開し、同年末に希望のタイプの部屋が確保でき、2024年に契約。居室のリフォームや自宅の荷物整理などを経て2025年1月に入居しました。
【自立でも介護でも得られる安心感】
相談員:現在のホームへ入居を決めた決め手になる事はありましたか。
A様:前述の医療支援、健康、食事の要件を満たしていることに加え、自立の方が中心のホームですが、介護を必要とする方を隔離することなく自然と行き交い、食堂などでも交流ができることも魅力に感じました。いずれ自分も体力が衰え介護が必要となるかもしれません。『明日は我が身』で、[老い]を共有でき自分の将来をイメージできることもメリットの1つにありました。
【思い出と向き合う住み替え準備】
相談員:ご入居先の決定や実際の入居までの間にご苦労されたことはありましたか。
A様:やはり自宅の整理は大変でした。作業量もさることながら、加えて思い出やこだわりを切り捨てる作業でもあり辛い部分もありました。でもホームへの住み替えというタイムリミットがなければズルズルと先延ばしにし、結果子供たちに負担をかけることになったでしょう。あと大事にしていた観葉植物を一つ居室に持ち込んだのですが、これも移動が大変でした。でも、思い入れがあるものを居室に持ち込むことで、穏やかな気分が維持できます。また、子供たちの帰る場所は残しておいてあげたいと思うので、自宅にある荷物はそのまま置いてあります。
【好きなことに打ち込める日常】
相談員:日々どのように過ごされていますか。 ご趣味や交流の様子など、実際の暮らしぶりについて教えてください。
A様:部屋は中層階で東向き、緑が眺められ気に入っています。フィットネスクラブでは、はじめにパーソナルトレーナーをつけて自分にあったメニューを作ってもらいました。そのうえで水泳もはじめ500メートル泳ぐのが日課です。ホーム内のサークルでは能楽サークルに入り古典芸能の奥深さを実感するとともに、地域の方々とも交流しています。また入居前からバドミントンが趣味でしたが、入居後は地域のバドミントンサークルに加入し汗を流しています。
【最後の買い物は慎重に】
相談員:最後に、ホームへの入居をご検討されている方へのアドバイスをお願いします。
A様:ホームの暮らしには小さなトラブルや戸惑うこともあります。例えば、「こんにちは」と挨拶をしても、返さない方もいます。でも、耳が遠いからかもしれない。そもそも挨拶は人のためにするものではない、相手に敬意を表するという自分の意思表示であると考え、だれにでも挨拶するようにしています。おかげで顔見知りや話相手が増えました。それと選ぶ際に、経営母体がどのような法人で、運営理念、経営状況はどうかといった点はチェックすることが必要です。おそらく人生最後の高価な買い物でしょうから。
一人暮らしでの体調の変化や急病時の対応に不安を覚えたことから始まったホーム探し。ホーム選びの基準をご自身で明確にしていたことが早めの決断につながったのだと感じた。ご自身だけで決めず、子供さんたちとも見学を重ね意見を交わしながら進めてきたことも円滑な住み替えにつながったものと思う。フィットネスで体を鍛え、ホーム内のサークルであらたな領域へ興味をひろげ、趣味のバドミントンも継続する。自立型ホームゆえのアクティブなシニアライフを満喫されている様子が伝わってきて、当方も元気をもらえた。
(インタビュアー:相談員 倉田 久)
~有老協からのお知らせ~
ホームへの入居を決めるにあたって、情報収集はとても大切です。
有老協では様々な入居後のトラブル事例から、これから入居を検討する皆さまへ注意するポイントをまとめています。ぜひ参考になさってください。
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