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2022.07.11暮らしに役立つ情報「遺言」(前編)

遺言(前編)

高齢者の方が、老い支度として準備した方がよいものとして「遺言」があります。「遺言」について前編と後編に分けて、埼玉総合法律事務所 弁護士 月岡朗先生に解説いただきます。

1.遺言とは

高齢者の方が、老い支度として準備した方がよいものとして遺言があります。
遺言は、自己の死亡とともに身分上あるいは財産上の法的効力を発生させる目的で一定の方式に従って行う、相手方のない単独の意思表示と言われています。簡単に言えば、遺言を作成する人が、自分の死後の財産の承継等を決めることです。
例えば、「自分が死亡した場合には、全財産を妻に相続させる。」というような文言が遺言の典型例です。 このような遺言があれば、妻としては、もし夫が死亡しても、財産を取得できるので安心して生活できます。
また、遺言を作成しなかった場合には、残された遺産をどのように分けるか等に関して遺族間で争いになることも少なくありません。 そこで、遺言を作成することが老い支度として勧められています。

2.遺言の種類

遺言にはいくつかの種類がありますが、ここでは、一般によく利用されている自筆証書遺言、公正証書遺言をご紹介します。


(1)自筆証書遺言  

自筆証書遺言とは自分の手で書いて作成する遺言です。証人は必要なく、自分一人で作成することができます。自筆証書遺言を作成するためには、自分で、遺言書の全文、日付、氏名を書いて、印鑑を押さなければなりません(民法968条1項)。  
なお、近時の相続法の改正により、自筆証書遺言と一体のものとして相続財産の全部または一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書する必要はなくなりました。ただ、この場合、遺言者は、その目録の各葉(自書によらない記載がその両面にある場合には、その両面)に署名し、印鑑を押すことが必要です(民法968条2項)。
このような自筆証書遺言については、費用をかけずに簡単に作成できるというメリットがあります。その一方で、紛失したり、書き換えられたりするリスクや、日付を書き忘れる等して自筆証書遺言が無効になるリスク、遺言書の文言の意味があいまいで相続人の間で紛争になるリスクもあります。  
また、自筆証書遺言のデメリットとしては、遺言作成者の死亡後に、遺言の保管者が、家庭裁判所に、自筆証書遺言の状態を確認する検認という手続きの申立をしなければならないという点があります(民法1004条)。
なお、自筆証書遺言については、法務局の遺言保管所に自筆証書遺言を保管してもらうよう申請をすることもできます(法務局における遺言書の保管等に関する法律4条)。

(2)公正証書遺言  

公正証書遺言とは、①証人2人以上の立ち会いのもとで、②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、③公証人が遺言者の口授を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ又は閲覧させ、④遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自が署名押印し、⑤公証人がその証書は方式に従って作成したものである旨を付記して署名押印する方式で作成された遺言です(民法969条、同法972条)。  
公正証書遺言であれば、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその理由を付記して、遺言者の代わりに署名することができます。  また、目が見えない、耳が聞こえない等の五感が不自由な人でも、公正証書遺言をすることができます。
さらに、公正証書遺言の原本は公証役場に保管されるので、遺言書の紛失や偽造のリスクはほとんど考えられません。また、公証人が遺言書の作成に関与しているので、遺言作成者が、遺言作成当時、判断能力はなかった等の紛争が発生するリスクも少なくなります。公証人の関与により、遺言書の文言があいまいな事態も少なくなります。  
公正証書遺言のデメリットは、作成するのに費用がかかるというところです。費用については、遺産の金額等で異なりますので、公証役場にお問い合わせいただけたらと思います。

(3)まとめ

遺言作成者の方により状況は様々かと思いますが、自筆証書遺言の有効性を巡って紛争になることは少なくありません。可能であれば、公正証書遺言の作成をお勧めいたします


自筆証書遺言と公正証書遺言の長所と短所

 

 

自筆証書遺言

公正証書遺言

長所

・自分一人で作成できて、簡単。

・作成費用がかからない。

・紛失や偽造のリスクは少ない。

・形式の不備で無効になるリスクは少ない。

・遺言者の判断能力について、紛争になりにくい。

・字が書けない方でも作成可能。

・遺言書の文言があいまいで紛争になるリスクは少ない。

・家庭裁判所での検認の手続きが不要。

短所

・遺言保管所に保管しない限り、紛失や偽造のリスクがある。

・書かなければならない事項を記載せず無効になるリスクがある。

・遺言書の言葉の意味があいまいでトラブルになるリスクがある。

・遺言書を自分で書かなければならない。

・遺言作成時に遺言者の判断能力を巡り紛争になることもある。

・遺言保管所に保管されていない自筆証書遺言の場合、家庭裁判所の検認が必要となる。

・公証人への費用がかかる。

・公証人に作成してもらうため、時間や打ち合わせなどが必要となる。

 

遺言(後編)はこちら

 

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