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リバースモーゲージ

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リバースモーゲージ

高齢者の方が、老後資金を確保するための方法に「リバースモーゲージ」があります。「リバースモーゲージ」について、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会に解説いただきます。

2019年金融庁の報告書で「老後2,000万円問題」が話題になりました。金額の妥当性は別としてセカンドライフの生活費を賄うには年金収入だけでは足りず、現役生活で蓄えた貯蓄を取り崩しながら生活していかなくてはならないということを多くの方が認識したことと思います。セカンドライフに向けてしっかりとお金の準備をしてきた方でも、貯蓄を取り崩していく生活が続くと長生きリスクの不安を持つのではないでしょうか。また、セカンドライフをもっと楽しみたい、とか、住みやすい住環境を求めて転居したい等、もう少しお金に余裕があればと思う事もあるかと思います。 しかし、高齢者世帯では生活費や住み替えにかかるお金の不足分を補うために融資を受けたくても審査が通らない可能性が高いです。主な資産である自宅を売却すれば資金を得ることはできますが、その後の住まいがなくなってしまいます。そんな悩みを抱える高齢者世帯でも利用できる融資としてリバースモーゲージがあります。

1.リバースモーゲージとは

自宅を担保にして、そのまま住み続けながら金融機関からお金を借りることができる仕組みのことです。自宅に住み続けながら担保として提供することでお金を借りる、ということで住宅ローンと似た商品ですが、住宅ローンと異なり担保となる自宅があれば年収の審査ハードルが低いことから高齢者でも借りやすい制度といえます。また、一般的な融資では、借りたお金(元金)に利息をつけて決められた期間内(融資期間)に返済をすることが必要です。

一方、リバースモーゲージは融資期限が無く(終身)、融資期間中に元金の返済も不要、利息のみの返済となります。元金の返済は借入人が死亡した後に現金で一括返済するか、担保となった自宅を処分して完済することになります。 このように、①借入人の年収ではなく担保による融資、②自宅に住み続けられる、③融資期間中の負担が少ない、ことから高齢者向けのローン商品と言えます。 ちなみに、通常のローンであれば期初の残高が一番高く、返済が進んでいくと逓減するのに対して、リバースモーゲージは当初の残高が一番少なく、年月が経つごとに追加融資・利息が加わることで残高が逓増していくこと(残高が通常の融資とは逆の動きとなる)からこの名前が付けられています。

2.リバーズモーゲージの商品特徴

では、実際にはどのような商品なのか主な特徴を見ていきたいと思います。金融機関によって商品内容は異なりますが、大きく分けると2種類のリバースモーゲージがあります。

(1)使途限定型

住宅金融支援機構が扱うリ・バース60に代表される商品で、特徴は借入金の用途が限定されていることです。自宅の新築・購入、中古住宅の購入や住宅ローンの借り換え、リフォーム、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金など、借入金の用途が決まっているため生活資金や余暇を楽しむためのお金としては利用できません。基本的に利用できるのは満60歳からとなっており、元金の返済は借入人が死亡した後に担保となっている自宅を処分して完済します。なお、配偶者がいる場合には夫婦両名が亡くなるまで継続できるため、残された配偶者が自宅に住めないということにはなりませんのでご安心ください。

借入限度額は金融機関が評価した担保評価額の50%以内、かつ8,000万円以下と決まっています。金利は変動金利で利率は金融機関により異なります。 例えば、バリアフリー化のため自宅のリフォーム資金として1,200万円の融資を受けようと考えた場合、リバースモーゲージで当初金利が3%なら月々の返済は利息のみのため30,000円です(1,200万円×3%÷12か月)。もし不動産担保ローン、リフォームローンなど元金返済のあるローンを利用すると、同じ金利3%でも融資期間が10年だと月々返済は115,872円となり月々返済の負担は重く、リフォームをためらってしまうのではないでしょうか。

ところで、元金返済は借入人が死亡後に担保となっている自宅を売却して完済することになりますが、もし売却金額が借入金額より低い場合はその差額を誰かが負担しなければならないのでは?と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

リバースモーゲージの借入契約時に、売却額では債務が完済できなかった場合に相続人が差額を負担するかどうかで2つの形態があります。ノンリコース型は、相続人が負担をしなくても良い、つまり担保物件を売却して債務を完済できなくてもそれで終了となる契約形態です。一方、相続人が差額分の負担をしなければならないリコース型もあり、ノンリコース型よりも金利が低く設定されています。 子供に迷惑はかけられない、という方はノンリコース型で契約をすれば相続人に不足額の負担が及ぶことは無いので安心です。

(2)使途自由型

借入金の使途が自由なタイプもあります。一度にまとまったお金を受け取るのではなく、融資枠を設定して、その枠の中であればいつでもお金を借りることができるのが特徴です。融資枠は自宅の担保評価の50%以内、などと決まっています。また、利用可能な年齢は50歳または55歳以上となっていることが多く、融資期間中は利息の返済のみ、元金の返済は借入人の死亡後に担保となっている自宅を処分して返済することは同じです。なお、利息は融資枠に対してではなく、実際に借り入れをした金額に対してかかります。借りたお金の使い道は自由ですので、生活費や子供・孫への援助金、旅行代金のほか、有料老人ホームの入居金、介護施設の利用料などにも利用できます

使途限定型と比べると使い勝手が良いのですが注意点があります。それは、金融機関が定期的に自宅の担保評価を見直すということです。例えば、融資枠は担保評価の50%以内、と決められている商品を契約した場合、担保評価が下がった場合はそれに伴い融資枠も減額されてしまいます。 担保評価額2,000万円、融資枠1,000万円で契約が始まり、既に融資枠のうち800万円を利用している間に担保評価の見直しが行われて評価額1,500万円となってしまうと、融資枠は750万円(担保評価額の50%)となり借入金額が融資枠を上回ってしまいます。そうなると、融資枠を上回った借入金を返済しなければなりません。

使途限定型では融資期間中の元金返済は不要ですが、使途自由型では担保評価の見直しによって元金返済が発生する可能性があることに注意してください。 その他、ノンリコース型の有無や借入人死亡後も配偶者が引き続き住み続けられるかどうか等についても違いがあります。特に使途自由型は金融機関によっても商品内容が大きく異なりますので自分の希望に沿った商品かどうか検討が必要です。

※2つのリバースモーゲージの違い

タイプ

使途限定型

使途自由型(※1

融資金の使途

限定

自由

融資期間

終身

終身(※2

金利

変動金利

変動金利

担保評価

初回のみ

定期的に見直し

ノンリコース型

あり

なし(※3

配偶者引継

できる

できない(※4

担保物件の貸出

できる(※5

できない

※1 金融機関によって商品内容は大きく異なります。
※2 新規借入は86歳まで、と決められている商品もあります。
※3 ノンリコース型ありの商品もあります。
※4 借入人死亡後に配偶者が審査を受け、審査に通過すれば引き継ぐことができます。
※5 3年以内の定期借家契約であること

3.リバーズモーゲージの活用方法と注意点

健康上の理由で自宅での生活が難しくなり、高齢者向け施設に転居せざるを得ない状況を考えてみます。貯蓄がなければ自宅を売るしかありません。しかし、自宅を売るということは、不動産会社に売却の依頼をすることから始まり、買手候補が自宅の中を見学することになります。売却期間が短期間で済めばいいのですが、長期間に及ぶと見学対応をすることも負担になります。そして、売却契約を締結した後は決められた期日までに室内を整理して空家にしなければなりません。これらの負担を考えると高齢者が住み慣れた自宅を離れて転居するという決断を下すのは簡単ではありません。もしリバースモーゲージを活用することができれば、自宅を売る必要がありません。自宅はそのまま、荷物もそのままでいいのです。戻りたい時にはいつでも戻ってこられます。このように考えることができれば、精神的な負担は少なく、転居に対する抵抗感も低くなるのではないでしょうか。

注意点としては、リバースモーゲージも借入金であることから事前に返済計画を確認することが必要です。毎月の支払いは利息だけですが、元金が減らないため利息の負担は一生涯続きます。そのため、返済原資となる年金収入の範囲で無理なく利息の返済ができることを確認しましょう。もし夫婦がともに年金収入を得ている場合には、配偶者が亡くなったあと、残された配偶者がどのくらい年金(遺族厚生年金の有無・金額)がもらえるのか確認したうえでシミュレーションをするのが良いでしょう。 また、リバースモーゲージは変動金利の商品です。変動金利ということは利率が下がることもあれば上がることもあります。住宅ローンのように元金返済がある商品であれば、元金が減っていれば金利が上がっても月々返済が大きく増えることはありませんが、元金返済がないリバースモーゲージでは金利が上がると返済金額への影響が大きいです。

借入金1,200万円の金利3%では月々の利息返済は30,000円でしたが、金利が5%に上がると50,000円になります。もし元金返済があり、借入金が600万円に減っていれば、金利が5%にあがっても月々の利息返済は25,000円です。このように、元金返済がないリバースモーゲージでは借入から相当期間が経過していても金利が上がることで月々の負担が重くなる可能性があることに注意しましょう。

なお、リバースモーゲージを利用することを子ども(相続人)に説明することも忘れないようにしてください。一部の商品では推定相続人(子ども)の承諾が得られることがリバースモーゲージを利用する条件になっていますが、承諾が条件ではない商品もあります。リバースモーゲージを利用するということは生活環境が大きく変わる節目にもなりますので、利用に承諾の有無が必要か否かにかかわらず、今後のライフプランについて説明することをおすすめします。 そして、子どもにもリバースモーゲージの商品内容をしっかり理解してもらい、完済まで一緒にサポートしてもらえることができれば安心です。

4.最後に

将来の不安のために取り敢えず貯蓄を、と思っている方がリバースモーゲージのような融資制度があることを知ることで、より充実したセカンドライフを過ごすための資金の手当の選択肢が増えると思います。有料老人ホームへの入居にあたっても、手持ちの金融資産だけではなくリバースモーゲージを活用することも視野に入れてシミュレーションしてみてはいかかでしょうか。

~プロフィール~

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会

特定非営利活動法人(NPO法人)日本ファイナンシャル・プランナーズ協会は、ファイナンシャル・プランニングの普及・啓発とファイナンシャル・プランナー(CFP®AFP認定者)の養成などを通じて、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献することを目的とした金融経済教育の分野で活動するNPO法人です。

 

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